選ぶ時のポイント選ぶ時のポイント

負担する費用

現在保有している資産に、将来見込まれる収入を加え、それの合計と照らし合わせて無理なく払える費用の施設を選びましょう。基本的な費用は、入居一時金などの初期費用や、月額利用料など。それに加えて、介護保険の適用範囲と自己負担額、医療費や日用品といった実費負担や、有料サービスの内容などがかかります。これらを負担するのに、どの程度の価格帯であれば無理なく支払えるのかを考えていきましょう。なお、年金や生活保護だけを利用した入居を検討している場合、その支給額でまかなえる施設を探す必要もあります。入居費用を考える場合、おおよその入居年数の見通しを立てておくことも重要です。例えば、⾃⽴した⽣活を送れる⽅は、今後、介護が必要になったときのことを念頭に置いた施設選びが必要です。要介護になった後も過ごすことができ、終の棲家とすることができる施設を探すのか、要介護になった後は別の施設へと住み替えをするのかといったことを考えておきましょう。

負担する費用
入居条件・退去条件

老人ホームを決める際は、入居条件や退去条件を事前に確認しておくことが大事です。
終身利用を考える場合、要介護度が上昇したときや医療依存度が高まったとき、長期入院したときでも入居を継続できるのかをチェックしておきましょう。
一方、介護を必要としない元気なうちから入れる老人ホームを選ぶなら、「自立」の方が入居できる施設を探す必要があります。自立の方向けの老人ホームではレクリエーションやイベントが盛んに行われ、趣味活動を支えるサービスが充実しているところが多いです。

入居条件・退去条件
ケア体制や生活支援サービスの内容

医療や介護のケアを受ける方は、心身状態に合わせて介護体制、医療体制、リハビリ体制について確認することが大切です。例えば介護付き有料老人ホームの場合、入居者3人に対して介護スタッフ1名以上の配置が最低基準として定められています。当然ながら、入居者数に対してスタッフの数が多くなるほど、手厚いサービスを受けられます。そのほかに確認しておきたい項目は以下の通りです。

  • 看護職員や機能訓練指導員が常勤しているかどうか
  • 提携する医療機関とその内容
  • 緊急時の対応
  • 看取り体制
  • 訪問診療や健康診断の頻度
  • 看護職員が勤務している時間

有料老人ホームは、介護サービス以外にも、調理や洗濯、居室の掃除に加え、外出時の送迎などといった生活支援サービスを提供しています。無料で利用できる回数は「週2回、月1回」と施設ごとに異なるので、入居前に料金体系をチェックしておくことが大切です。なお、生活支援サービスが充実している施設は、日常生活における負担は減る一方、その分費用が高額となる傾向にあります。

ケア体制や生活支援サービスの内容
立地条件や設備の充実度

施設を選ぶうえでは、立地条件も大きな要素となります。
本人が住みたいと思う場所にするべきなのはもちろん、介護が必要な方であれば、家族が高い頻度で訪れることを考え、無理なく通うことのできる距離の施設を選びましょう。体調が急変した場合など、緊急時に駆け付けることができる距離にあると、本人も家族も安心です。また、要介護状態となってからも不安なく生活を続けるには、設備の充実度がどの程度なのかが重要になってきます。館内の廊下は車いすでスムーズに移動できるほどの広さがあるのか、ドアの形状や床材の材質はどうか、浴室設備のクオリティは高いかなどをチェックしておきましょう。部屋については、室内は車いすに対応しているのか、個人用のキッチンや浴室はあるか、自分のお気に入りの家具や仏壇を持ち込めるかどうかなどを確認しておくことが大事です。また、部屋だけでなく食堂などの共同スペースについても、清掃が行き届いていて清潔感があるかどうかを確かめましょう。さらに、面会のために訪問する家族への設備・対応が整っているかどうかも重要です。施設内に家族の居場所や宿泊用のゲストルームはあるか、家族に食事は提供されるのかなども確認しましょう。

立地条件や設備の充実度

高齢者施設の種類高齢者施設の種類

介護付き有料老人ホーム 65歳以上の自立・要支援・要介護の方が入居可能

介護保険の「特定施設入居者生活介護」サービスが適用されます。
65歳以上の自立・要支援・要介護の方が入居可能な施設で、基本的には介護が必要な方のための居住施設ですが、自立の方が入居できる「混合型」と呼ばれる施設もあります。
介護サービスの費用は予め設定された定額となり、食事をはじめとする健康管理、掃除、洗濯、入浴、排泄など日常生活においての介護サービスが24時間受けられる施設です。すべての介護サービス(食事・入浴・排泄・健康管理・その他自立への支援等)が受けられます。認知症はもちろん、日中看護師が常駐しているので胃ろうや気管切開など医療ケアが必要な方にも対応しています。レクリエーション(外食・カラオケ・将棋など)が充実し、入居者の方が楽しく過ごせるような取り組みをしている施設も多くあります。
費用に関しては入居一時金と月額費用が必要になりますが、エリア間によって格差もあります。

住宅型有料老人ホーム 60歳以上の自立・要支援・要介護の方が入居可能

介護等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設です。
60歳以上の自立・要支援・要介護の方が入居可能な施設で、基本的には食事など生活に関する日常的なサービスと緊急時の対応のみになります。介護サービスが必要な場合は、訪問介護や通所介護などの外部サービスを利用することができます。 必要な介護サービスを選択できるため自由な暮らしを実現しやすいところがメリットですが、介護サービスを利用すればするほど費用がかかり、介護保険の限度額をオーバーすると全額自己負担となるため、月々の支払いが一定ではありません。また介護士や看護師が常駐していないため、介護度や医療度が高くなると退去しなくてはならない事もあります。費用に関しては入居一時金と月額費用が必要です。 入居一時金を低額もしくは0円に設定している施設も増えています。

サービス付き高齢者向け住宅 60歳以上の自立・要支援・要介護の方が入居可能

日常生活や介護に不安を抱く高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、安否確認・生活相談サービスや24時間地域巡回型訪問サービスなどの介護サービスを組み合わせた高齢者専用のバリアフリー賃貸住宅です。
60歳以上の自立・要支援・要介護の方が入居可能な施設で、住戸面積、台所、水洗便所、収納設備、洗面設備、浴室設備、バリアフリー構造などの規模・設備等の基準やサービスや契約等に関する基準など高齢者住まい法等に規定された基準を満たしたとして、県や政令市・中核市に登録した賃貸住宅です。介護サービスが必要な時は、訪問介護や通所介護などの外部サービスを利用することができますが、介護保険の限度額をオーバーすると全額自己負担となるため、月々の支払いが一定ではありません。介護に重きを置いていないので、医師・看護師が常駐していないケースもあります。そのため、体調の変化により重度の介護が必要になった場合は退去しなければならない事もあります。 レクリエーションの義務づけがない為、頻度や内容は施設によって様々です。賃貸契約を結ぶため、費用に関しては敷金・礼金と月額費用が必要になります。

グループホーム認知症や精神疾患と診断された、原則65歳以上の要支援2~要介護の方が入居可能

認知症や精神疾患と診断された、原則65歳以上の要支援2~要介護の方が入居可能な施設です。家庭的な環境の中で専門スタッフの援助を受けながら共同生活をします。
5人~9人を1ユニットとし、在宅とほぼ同じ環境で、それぞれの能力に応じて食事や掃除、洗濯を分担して共同生活を行い、リハビリやレクリエーションの機能訓練を通し、認知症の進行を穏やかにして、健康的な暮らしができるよう対応しています。
施設所在地と同じ市区町村にお住まいの方が対象となる地域密着型サービスの一つであり、利用できるエリアに制限があります。(住民票と同じ市区町村のみ)
費用に関しては入居一時金と月額費用が必要になりますが有料老人ホームに比べると比較的低額で利用することができます。そのため入居待ちになるケースもあります。

特別養護老人ホーム身体上又は精神上著しい障害があるために、常時の介護を必要とする65歳以上の要介護3以上の方が入居可能

身体上又は精神上著しい障害があるために、常時の介護を必要とする65歳以上の要介護3以上の方が対象となる施設です。
自宅での介護が厳しく、重度の要介護認定者の優先順位が高いです。設置主体は地方公共団体や社会福祉法人であるため、入居の申し込みは居住市区町村となっています。
社会福祉法人などが運営する公的施設のため費用面は低額設定となり、待機者が非常に多く、すぐに入所できない可能性があります。

介護老人保健施設病院を退院後、在宅復帰をするために必要な訓練を行う65歳以上、要介護1以上の方が入居可能

病院を退院後、在宅復帰をするために必要な訓練を行う65歳以上、要介護1以上の方が対象となる施設です。
病状は安定しているものの、退院してすぐに自宅へ戻るのは不安という場合に自宅に戻るまでの期間、療養・リハビリを兼ねて一時利用する施設です。病院と自宅の中間的な役割を持っています。入所期間は3~6カ月程度と短めとなっており、あくまで目的は在宅復帰で、終の棲家として利用できません。

小規模多機能型居宅介護

介護が必要となった高齢者が、住み慣れた家・地域での生活を継続することができるように、要介護者の容体や希望に応じて、「通い(デイサービス)」を中心として、随時「訪問(訪問介護)」や「泊まり(ショートステイ)」を組み合わせた3つのサービスを提供する在宅介護サービスです。これらのサービスを同じスタッフが対応するため、連続性のあるケアを利用できる利点があります。利用頻度に関わらず、費用が定額になることが特徴です。

ショートステイ

介護する方が、病気や事故、出産、法事といった一時的に介護を続けることができなくなった場合等に短期的に入所させることにより介護する方の負担を軽減するための介護サービスとなります。

介護療養型医療施設主に療養上の医療を必要とする方が入居可能

主に療養上の医療を必要とする方のための施設で、病状が安定期にあり、長期間にわたる療養や介護を行いながら、リハビリを続けていきます。医療処置が必要な場合も入所することができます。

軽費老人ホーム

60歳以上の自立の方で、介護は不要ですが身体機能の低下や、独立して生活するには不安があり、家族による援助を受けるのが困難な人を対象とした施設です。健康状態が悪くなり日常生活で介護が必要となった場合には退去しなければなりません。
所得制限があります。給食サービスのあるA型、自炊を原則とするB型、居宅として全個室で住むケアハウスの3種類があります。(大半がケアハウスで運営されています)

障害者施設(入所タイプ)の種類 障害者施設(入所タイプ)の種類

障害者支援施設

施設入所支援および施設障害福祉サービスを行う施設を指します。基本的には、夜間に食事や入浴、排せつなどの介護を行う施設入所支援サービスです。
日中には主に以下のような障害福祉サービスを利用者の状況に合わせて提供するのが特徴です。

  • 生活介護
  • 自立訓練
  • 就労移行支援
  • 就労継続支援

複数のサービスを提供する障害者支援施設は多機能型事業所でもあります。ちなみに障害福祉サービスには、居宅介護・重度訪問介護・生活介護・短期入所(ショートステイ)・自立訓練(機能訓練・生活訓練)・自立生活援助・共同生活援助(グループホーム)などさまざまなものがあります。
利用対象者は、知的障害や身体障害などにより、介護・援助を要し、自宅での生活も難しい障害者の方です。障害支援区分で区分4以上、50歳以上なら区分3以上が対象です。
夜間の生活介護を必要とし、通所による訓練が困難な方に、入所による支援を提供します。
提供する生活介護サービスは主に以下のような内容です。

  • 入浴・排せつ・食事などの介護
  • 日中活動として創作的活動または生産活動の機会の提供
  • そのほか必要な援助
障害者グループホーム

障害のある人が、日常生活上の介護や支援を受けながら共同生活を営む住居のことです。
グループホームで暮らす人に対し、入浴、食事などの介護や生活相談、その他の日常生活上の支援を提供するサービスは「共同生活援助」と呼ばれ、障害者総合支援法が定める「障害福祉サービス」のひとつです。この共同生活援助のことを通称としてグループホームと呼びます。経営母体は社会福祉法人・NPO法人・株式会社など、さまざまな法人によって運営されています。
利用対象者は、特に対象の障害者支援区分は決められていませんが、障害者総合支援法が定義する「障害者」に該当する方です。特に、知的障害や統合失調症などの精神障害のある人の利用が多いとされています。「身体障害者」の場合は65歳未満の人、または65歳に達する前日までに障害福祉サービスやこれに準ずるサービスを利用したことがある人に限られます。
提供サービスの大きな特徴は地域生活での自立の実現を目的としている点です。地域にある住宅を利用したグループホームでの集団生活を通して、将来的に地域社会に根差した一人暮らしをすることを目指している人が多く見られます。また、基本的に夜間の支援のみで、日中は各々で職場などに通っている場合がほとんどです。
サービスの提供方法により、以下の3種類に分かれます。

介護サービス包括型 主に夜間や休日において介護が必要な人のためのグループホームで、生活支援員や世話人が食事や入浴、排せつなどの介護サービスを提供します。
外部サービス利用型 主に夜間や休日に相談や家事といった日常生活上の援助を提供します。また、入浴などの介護は事業所が委託契約を結んだ介護事業者が行います。
日中活動サービス支援型 24時間の支援体制もしくは短期入所施設の併設によって、日常生活の支援や相談、介護など幅広いサービスを提供します。